雨雲の上の太陽

 

最近色々なものを失って

さすがに今までのようには楽天的でいられなくなってきて

何も考えないように

頑張って後ろを見ないように意識しながら生活している。

 

夜も目を閉じて1人で考えてしまうことが怖くて、

眠るまでYouTubeで好きな芸人さんの動画とか見て笑って

ごまかしてしか眠ることができない。

 

 

 

 

 

 

 

高校の卒業式の日は大雨だった。

もう10年前だな。

体育館の屋根に叩きつけられる雨音で同級生の読む答辞の声はかき消され、よくわからないまま終わったけれど私の心は晴れやかだった。

 

教室に戻り、あまり生徒と心を通わせることができなかった担任の教師の話も終わり、クラス全員が1人ずつ立ってみんなにあいさつをすることになった。

それぞれいろんなことを言った。

 

『ここまで育ててくれて、毎日お弁当を作ってくれたお母さんありがとう。』

『部活がいちばんの思い出です。』

『あんまり思い出はないけど今までありがとうございました。』

『これからは○○をがんばります』

『みんなまた集まろうね。』

 

みんなに向けたメッセージだったり

これからの抱負だったりを

それぞれが発表した。

 

私は自分が何を言おうかあまり考えないまま、みんなの話す言葉を聞いていた。

 

いよいよ自分の番が来てその場に立つと、口から出たのは短い言葉だった。

 

 

 

「これからも、自分を好きと言える自分でいたいと思います。」

 

 

 

あの日の言葉は10年経った今も心の中に鮮明に残っていて、

たまにふと自分の声が聞こえ、

あぁこのままじゃだめだ。あの時の自分に今の自分は見せられない。

と奮い立ったり、

まだ何も経験してないからあんなことが言えたんだろう。

なんて卑屈になったりする。

 

 

それでもあの日の私の目は真っ直ぐに自分を見つめていて、これからの自分を信じてたんだ。

 

 

そんな記憶はたまに重荷にもなるけど、

ずっと変わらずにいないとだよ、と背中を叩いてくれる。

またあんな私にならないと。

あの頃の私が今の夢なんだ。