イオンのことジャスコって言いたいの

 

 

ひとりでイオンに行った

雑貨屋でサングラスの試着をした

鏡で見て、自分の姿に少し笑って、

誰にも見られていないか周りを確認して、元の場所に戻す

これを繰り返して、これならなんだかいいんじゃないかなぁ、ちょっと似合うんじゃないかなぁと思えるものに出会ったので、手に取って思い切ってレジに向かっている途中、

大きなサメと目が合った

両手を広げたほどの長さもある、ふわふわのそいつを、とても連れて帰りたくなった

抱っこしてレジに連れていった

店員さんに笑われるかなぁ、

と思いながら若い女性の店員さんの顔をチラッと見ると、新人さんのようだった

アラサーの女が1人で大きなサメのぬいぐるみを買おうとしていることなんか気にしている余裕はない

レジの操作や仕事のことでいっぱいいっぱいになっている表情をしていた

奥から多分ちょっと偉い人なんだろうな、というような雰囲気を醸した40代か50代くらいの男の人が出てきて、新人女性に仕事を丁寧に教えた

とても優しい物言いに好感を持った

 

笑顔の男性は私の顔を見て

このサメ…どうしますか?

と持ち帰りの方法を尋ねてきた

 

本当はこのふわふわちゃんを抱いてイオンの中を連れて回りたい気持ちだったけど

両手を広げたほどの長さもあるサメのぬいぐるみをまぁまぁ大人の女性が1人で抱いてウロウロしていたらきっとジロジロ見られてしまう

逆の立場なら私もきっと

あっ、あの人、、

と一瞬凝視した後、見ないようにすると思った

 

袋…ありますか?

とおそるおそる聞くと

ありますよ!と少しホッとしたように大きな袋にサメのふわふわを入れてくれた

サメと目が合った

ごめんね、と思った

タグを見ると『シャークッション』と書いてあり、

「シャーク」と「クッション」を掛け合わせた名前なんだと一瞬で理解した

とても安易だ

サメのぬいぐるみとサングラスを一緒に買うって変だな、などと思いながらレジを後にして歩いていると

 

ジョーズくん、売れたね!」

と嬉しそうに笑う男性と新人女性の声が聞こえた

 

 

あぁジョーズくんを買って良かったなぁ、と心から思った

 

車に戻り、助手席にジョーズくんを乗せ、買ったサングラスをかけてもう一度鏡を見ると、フィンガーファイブみたいな自分の姿があった

 

ジョーズくんが口を開けて笑った