階段を上って
今もたまに日記を書いている。
普通のノートに、気が向いた日に書きたいことを書く。
そんなことを中三の頃からしている。
たまに読み返すと、その幼さに恥ずかしくなり目を背けたくなったり、純粋さが愛しくなったりする。
あの頃書いていた日記も同じだ。
開くページ開くページあなたのことが綴ってある。
好きという言葉が幾度となく書いてある。
他にぶつけようのない感情は日々自分の中を駆け巡り、どんどん大きくなっていった。
寝ても覚めても、あなたのことを考えていたのでした。
夜、あなたにメールを送る。
次の日には送らない。
あなたから送られてくる。
また次の日には私から送る。
そんなことを毎日していた。
あなたが試合で怪我をしてからというもの、
試合に出かけていくのを見るのが怖かった。
またあんな風に怪我するんじゃないか
そんな不安が大きかった
だからメールしたの
「今度は怪我しないでね」
って
返信に気付いたのは次の日の朝
これ以上ない嬉しい言葉だった
お前のために勝ってきてやる
そうあなたは言いました
そして言葉通り試合に勝って
無事に帰ってきてくれたのでした。
そんな言葉をくれたのはあなただったけど
私たちの関係が発展することはなかった
私も何も聞けなかったし
あなたもそれ以上何も言いませんでした
秋
休日だったその日
学校で2人で勉強する約束をした私たちは
誰もいない狭い進路指導室で一緒に過ごした
あの日何を話したのかはあんまり覚えてないよ
2人でいれることが嬉しくて嬉しくて恥ずかしくて
教室に忘れ物をした誰かが廊下を通り
私たちがいる部屋を見た
私たちはなんとなく顔を伏せたりしてた
誰かに直接好きって言うなんて
そんな恥ずかしいこと絶対できないって思ってた
でもわかったの
好きって言おうと思って言うんじゃなくて
溢れちゃうんだってこと
自分1人の中でだけ留めておくことができなくなって
どうしてもこぼれてしまうんだってこと
帰り際あなたを見た
夕陽が後ろからあなたを差していた
私ねあなたのことずっと好きだったんだ
それは一世一代の告白だった
下を向いているあなたの表情で
答えはもうわかったよ
友達でいたいというあなたの言葉を
聞きたくなくて私は少し耳を塞いでしまった
精一杯ふつうに笑って
じゃあねと帰った
感情が表に出てしまう私だから
きっとうまく笑えてなかっただろうな
ふらふらしながらどうにか家に帰った
無意識に涙が流れると言う経験は初めてだったよ
自分が泣いてることに気づかないくらい
意味がわからないと思った
あんなに思わせぶりな態度とっといて
なんで?なんで?なんで?なんで?
それでもその日も変わらずあなたが好きでした
愛しくて愛しくて
今まで何度も思ったことがある
私あなたの母親に生まれたら良かった
何を犠牲にしてでもあなたを愛すのに
世界中のすべてのものからあなたを守る
自分より何よりあなたが大切だから
それから半年ほどして私たちは高校を卒業したけど
ずっと変わらず
あなたが好きでした