だいたい一味か柚子胡椒

 

 

興味が湧いたことや

やりたい!と思ったことにどんどん挑戦しよう

と思った。

 

 

お父さんは大型二輪の免許を持っていて

休みになれば自慢のバイクで仲間とツーリングに出かけたり

お母さんを後ろに乗せて遠出したりしている

それがなんかいいなぁって思った。

 

 

バイクに乗る女の人っていいな。

私も大型二輪の免許挑戦するか?

とりあえず原付に乗ってみることにした。

原付に乗ったのは、車の免許取るときに教習所で習ったあの一回だけだ。

自転車に乗れれば乗れるよ、という

あの時の教官の言葉を思い出した。

 

やりたいとおもったらすぐにやらないと気が済まない性格なのですぐにやる。

お父さんに教えてもらうことに。

マンションの前の、交通量のとても少ない道で練習することにした。

 

お父さん1から張り切って教えてくれる。

でもまずめちゃくちゃ難題

エンジンがかからない

かけれない

思いっきり踏め!

と言われて何度踏んでもかからない。

今日の気温の高さと慣れないヘルメットのせいもあって汗ばんでくる。

ついには原付を倒してしまう。

お父さんは、話にならんと笑った。

 

どうにかエンジンをかけて、走り出す。

借りたバイクで走り出す。

28の夜。

 

アクセルを回してもなかなか走り出さなくて、

あれ?と思ってもう少し回すと、

ぶおんっ、という音が鳴って

いきなり前に進んだ。

勢いがつき過ぎて頭が後ろに下がる。

びっくりした。

 

お母さんが昔原付に乗っていて、焦ってアクセルを握ったまま田んぼに突っ込んだという話を思い出す。

怖くなった。

 

とにかくアクセルを元に戻す。

下を見たら倒れる。

ミラーを見る。

 

お父さんの教え通りに何度か走る。

すごいゆっくり

ぶーーんぶんっぶぶん

ぶーーんぶんっぶぶん

 

なに?

って顔で向かいの家からおばちゃんが顔を出す。

恥ずかしくなる。

でも下は見ない。倒れるから。

お父さんのところに戻って

おばさんが見てたよー

と話すと、練習中ですって叫べと言われた。

 

なんどか道を往復して今日の練習はおしまい。

駐車してエンジンを止めて鍵をかけるという動作にまた一苦労して部屋に戻った。

 

こいつはエンジンもかけきらん。

と笑って母に話す父

 

お母さんは海老カツを揚げながら、

もう乗らんでいいと私に言った。

さっきまであんなに熱心に指導してくれていたお父さんまでそれに同意した。

 

 

その理由はよくわかっていた

お父さんがずっと若い頃

バイクの事故で弟を亡くしていること

 

5年ほど前にお姉ちゃんが大きな交差点で事故って

乗っていた原付は車の下敷きになってグニャグニャになって

バイク屋さんに

これで軽傷で済んだのが奇跡だと言われたこと

 

 

もうバイクに乗るのはやめた。

他にもやりたいことはたくさんあるんだ

 

 

でも明日の朝原付にまたがってヘルメットをかぶって

写真だけは撮ってもらおうと思った。

それでじゅうぶんだ